「細胞質」とは何か 解説とまとめのまとめ

NO IMAGE
凡例
本稿は農水省の獣医師国家試験出題要項(H26)に従ったもので,以下の範囲に該当します

Ⅰ 構造と機能 1.生体の基本構造と機能 A.細胞の構造と機能 b.細胞質

関連分野:組織学

細胞質の定義

細胞質とは細胞内の核以外の部分全てを指す( [Ross組織学 2010] p.24).

細胞質=細胞小器官+細胞質基質

細胞質は定義からも分かる通り様々な構造を含んだ用語です.

細胞質には更に細胞小器官(細胞内小器官とも)と呼ばれる何らかの機能に特化した構造が存在し,その間を細胞質基質が埋めています.

細胞小器官のまとめ

細胞小器官は数多く存在し,ここで述べることは煩雑となりますから止めておきます.代わりに,以下に項目を列挙したのでポータルとして使ってください.

  • ミトコンドリア
  • リボソーム
  • 小胞体
  • ゴルジ体
  • ライソゾーム
  • ペルオキシソーム
  • 細胞骨格
  • 細胞膜
  • その他の細胞小器官

細胞質基質では解糖系が行われる

細胞質基質は様々なイオンや蛋白質,炭水化物などを溶かし込んでいるゲルです( [Ross組織学 2010] p.24).とても地味な構造ですが,ここで種々の化学反応が行われてます.

例えば,解糖系と呼ばれるATP産生経路はここで行われています.解糖系が細胞質基質で行われるということは,このシステムが 細胞小器官を持たないような原始的な生物にも存在している ことを意味します( [獣生化 2016] p.77).

また,逆に言えば細胞質基質さえあれば解糖系は進行します.これはミトコンドリアなどの細胞小器官を失った細胞の最後の命綱が解糖系であるとも表現できるでしょう.

哺乳類の全身の細胞はほとんどがミトコンドリアを持っています.しかし,ミトコンドリアを持たない細胞も存在し,代表的なものとして赤血球があります.故に, 赤血球は解糖系によってのみATPを産生している と言えます( [標準生理学 2009] p.511).

これは大変効率の悪いエネルギー産生法ですが,① 運搬しているO2を消費しない ということと,② 活性酸素種産生を抑制できる という利点があります.②は少々理解しがたいですが, [Yuan 2011]によれば高グルコース・高ヘモグロビン条件下に於いて,有核赤血球(ミトコンドリア有り)は無核赤血球(ミトコンドリア無し)よりも著しく活性酸素種濃度が上昇したとのことです.

なお,よく勘違いされていますが, 血小板には核がありませんがミトコンドリアはあります .血小板は止血機構において相当な量のATPを要求するのでミトコンドリアをなくすことはできません( [後藤信哉 2014]).

終わりに

以上が「細胞質」の内容です.細胞小器官については各項に譲りますから,ここでは細胞質基質というものがあって,そこでは解糖系が行われているということを掴んでおきましょう.

この記事の情報

執筆: fur

入力・校閲: sayoko

更新履歴

初版:2019/02/27

出典

参考文献

  1. PawlinaH. Ross,WojciechMichael. Ross組織学. 原書第5版. 翻訳者: 内山安男,相磯貞和. 南江堂, 2010.
  2. YuanZhang,Jian Cheng,Fei Xu,Yang‐Er Chen,Jun‐Bo Du,Ming Yuan,Feng Zhu,Xiao‐Chao Xu,ShuZhong‐Wei. Red blood cell extrudes nucleus and mitochondria against oxidative stress. International Union of Biochemistry and Molecular Biology, 2011, IUBMB Life Volume 63 Issue 7 pp.560–565.
  3. 横田博,木村和弘,志水泰武. 改訂 獣医生化学. 初版. 朝倉書店, 2016.
  4. 後藤信哉. 血小板細胞の代謝と機能. 一般社団法人 日本血栓止血学会, 2014, 日本血栓止血学会誌 25 巻 3 号 pp.343-347 .
  5. 小澤瀞司,福田康一郎. 標準生理学. 第7版. 医学書院, 2009.

国試カテゴリの最新記事